2019年3月18日月曜日

1章7節 奥山村ふるさとキャンプ始まる -4日目-

翌朝はいよいよ帰る日です。
朝から、公民館の片づけで大忙し

子どもたちは、お風呂を借りたお家に、お礼のお手伝いに出かけていくのです。
いつものように朝ごはんをすませると、谷口君が子供達に丁寧に何をするのか、説明をします。
玄関を履いたり、窓を拭いたり、お庭の草むしりをする。
間違っても、おうちの中で、お茶とお菓子をご馳走になってはいけないということ。お土産をもらったりしてはいけないということを、話しました。
そして、1人でそのお家にまで行くこと。
交通事故に注意すること、そのために、きちんと道のは実行を歩いて行くこと。など、丁寧に、話をしました。
そして最後に、持ち物の確認です。
荷物の奥底に、今まで使わずに眠っていた、雑巾を引っ張り出させて、持って行くように言いました。
「この雑巾で、お掃除とかしてくるんだからね。」と、谷口くんは念を押しました。
これも福田さんが、出発前に考えていたアイデアでした。
ただ行ったのでは、お手伝いをしないで終わってしまうかもしれないから、いしひょうじとして、ぞうきんをもたせようじゃないか。と、いうわけです。


子どもにとっては、案外、大冒険です。
道は覚えているつもりでも、今までは友達と一緒だったり、リーダーがいたりでした。
しかし今朝は、1人で行って、1人で帰ってくるのです。
みんな、公民館から出るときは、少し不安な顔をして、うしろをふりかえりふりかえりあるきだします。
リーダーたちが、笑顔で手を振っています。
実はリーダーも少し不安なのですが、それを押し隠して、明るく手を振ります。

ところが、お家では、心配なお爺さんやおばあさんが戸口に出てまっていたり、途中まで出迎えにきているお家もあったのです。
みんな、そんな、おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさんの姿を見つけると、手に持った雑巾を振りながら、駆け出していきました。

あかりちゃんは、おばあちゃんを見つけると駆け寄っていって、しっかりと抱きつきました。
おばあちゃんも、「おはよう」といって、頭を優しく撫でてくれます。
そして、「さあ、今日は、一緒にお掃除をするんじゃろう」といって、手を繋いでうちに向かいました。あかりちゃんは、「うん、雑巾持ってきた」と、雑巾を振ります。
おばあちゃんは嬉しそうに、ウンウンと頷いています。
うちにつくと、「うんじゃあ、まずは、玄関の掃除でもすべえか」と言ってあかりちゃんと、玄関を一緒に履いたり、上がり框を吹いたりしました。
「ありがとうな。おかげで綺麗になったよ」
「他のところもお掃除しようよ」と、あかりちゃんが言います。
「そうだな、でも、もう時間だで、帰らないといけないんだよ」
「え〜まだだいじょうぶだよ」
「ばあちゃんも、もっと一緒にいたいだけど、時間は守ってくれって言われてるさけ〜」
「わかった・・・」
あかりちゃんも、朝、谷口くんに言われたことを思い出して柱時計を見上げました。
確かに帰らなくてはいけない時間になっていました。
おばあちゃんは、公民館まで一緒に行くべ。と言ってあかりちゃんと手を繋いで、歩き出したのです。
途中であかりちゃんは、「おばあちゃん・・・また来ていい?」と、おばあちゃんを見上げます。
おばあちゃんは、「もちろんだ、いつでもおいで。お父さんやお母さんと一緒に来ればいい。ばっちゃんちは、だだっぴろいべ、何人でも泊まれるから、みんなでくるとおいいべさ。」
あかりちゃんは嬉しそうに、大きくうなづきました。

省三さんのところに行った、三枝くんはおじいさんと一緒に軽トラックに乗ると、畑に行ってスイカの収穫を手伝いました。
収穫をしながら、省三さんが、「うちで辛いことがあるか?」と聞くと、三枝くんはただ、小さくうなづきました。
「おめえぐらいになれば、もう1人で、電車にでも乗れるべ。いつでも、おらのところに遊びに来。夏休みなんか、なんぼうちにいてもいいから。本で、こうやって、俺と一緒に畑するべ。俺も助かるしな。なんだったら、少しバイト代出してやってもいいど、電車賃ぐらいにはなるべ。」と笑いました。
「本当にいいですか?」「ああ、本当だ。ただ、うちの人に黙ってきてはいけねど。ちゃんと断って来。」「はい!」
三枝くんの顔は輝きました。
2人は時間ギリギリまで、畑仕事をすると、そのまま、軽トラックで公民館に向かいいました。
三枝くんは、1人で歩いて帰らないといけないと行ったのですが、省三さんが、「時間がすぎちまったから、俺が、勝手にそうしたってことでいいだ。」といって、そのまま車を走らせました。

当然、福田さんも、谷口くんも、スタッフのみんなも苦笑いです。
1人で返してくれるようにお願いしていたにもかかわらず、ほとんど全ての子供が、おじいちゃん、おばあちゃんと手を繋いでくるか、軽トラックに乗って帰ってきたのです。

「バスの出発の時間まで、昼食の時間を含めて1時間以上あるのに、どうしたものか。」福田さんは笑顔のまま、そんな風に呟きました。
しかし心配は、無用でした。
公民館の台所で、おばあちゃんたちは手早くお茶を沸かすと、子供達に邪魔にならないよう桜の木下に陣取り、おしゃべりをしながら、帰り支度をする子供達を眺めているのでした。

お昼ご飯は、近くの仕出し弁当屋さんにおにぎり弁当を頼みました。
あっという間に平らげると、子供達は、すぐに、返る支度をはじめます。

バスはもう来ています。

子どもたちは、そのバスを見て帰るんだということを見て実感しているようでした。そして、おじいさんたちとバスを交互に見ています。

谷口君が、公民館の前の広場に子供たちの荷物を集めます。
荷物を一か所にまとめ、公民館の掃除分担を伝え、みんなで掃除に取り掛かります。
掃除に取り掛かると、おじいさんやおばあさんも、手伝い始めてくれました。
楽しげに、しかし少しだけ寂しげにお掃除をしています。

省三さんは、軽トラに寄りかかりながら煙草をふかし、微笑んでいます。

福田さんは昭三さんに歩み寄り
「本当にありがとうございました」
「いや~、あっという間じゃったな。また、こういうイベントしてくれるかの~。村のものんが、こんなに活気づいたのは久しぶりじゃ。」
「はい、必ず、また、実施させていただきます」
「それからあの三枝君のことだが…」
「はい」
「本当に何かあったら預かってやるでな」
「はい、ありがとうございます。そことは、改めてご報告します」
「うん」
「それに、平野のこともな。ははは」
「はい、ありがとうございます」と、言いながら、福田さんは、公民館の片づけをしている平野君を見て、微笑みました。

あかりちゃんは、おばあちゃんにくっついて、広間の掃き掃除を一緒にしています。
まるで本物の孫とおばあちゃんのようです。
おばあちゃんは既に涙ぐんで、前掛けで目じりを拭きつつほうきを動かしています。

そこに、節子さんの軽トラが付きました。
「早めに来たつもりなのに、なにこれ、みんないるじゃない」
「はいごらんのとおりです。」と福田さんは頭をかきました。
「でも、この風景を見れば、今回のキャンプは大成功だったということがよくわかるわね」
「おっしゃる通りです。」
「節子さんにも、本当にお世話になりました。」
「いいえ、みんなが頑張ったのよ」

そんな話をしていると、谷口君が子供たちを広場に集め始めます。
平野君が走ってきて、かたずけも終わりました。
「よし、じゃあ、お別れのセレモニーをしよう」
「はい」
そこで、子供たちに福田さんが空りかけます。
「楽しかったかい?」
「は~い!」
「ここで過ごしたのは3泊4日でしたが、君たちこれから何度となく、音連れてほしいと思います。そして、この奥山村が、君たちの故郷になるといいなと思っています。おじいちゃんおばあちゃん、親戚のおじさんおばさんも、みつかったでしょう?」
子ども達は大きくうなずいたり、村の人を見つめたりしています。
村の人たちも、皆うなずき、多くの人が目頭を押さえています。
その村人に向かって福田さんは、
「不遜なことを申し上げましたが、皆さんにも、この子たちの故郷になってあげてほしいのです。東京の子ども達には故郷のない子供がどんどん増えています。この子たちの多くもそんな子たちです。ぜひ、この子たちの故郷になってあげてください。」
「もうそのつもりじゃて」と、省三さんがつぶやきます。
それにこたえるように村の人たちから拍手が沸き起こりました。
福田さんは。深々と頭を下げました。他のスタッフたちも、同様に深々と頭を下げました。
拍手は一層大きくなりました。
福田さんが頭を上げると、「では、みんなお別れを言いましょう。皆さん、お世話になった方の方を向いてください。」子供たちは、おのおの、お世話になったおじいさんおばあさんの方を向きます。
「ありがとうございました」と福田さんが言うと子供たちも声をそろえて、『ありがとうございました~』と頭を下げました。
再び拍手が沸き起こりました。
谷口君が、
「バスに乗り込ませますね。」
「うん、たのむ」と、福田さんがうなづきます。

バスの乗車口には、おじいさんとおばあさんや、村の人たちが、花道を作ります。
子ども達はその間を通って、バスに向かいます。

あかりちゃんはおばあちゃんにしがみついて離れません。今野さんが、やさしく促していますが、泣きじゃくるばかりです。

省三さんは、三枝君の方を何度もたたいて、「いつでもこいや」
「何かあったら電話してくるんじゃぞ。」と、言いながら、涙ぐんでいます。
ほかの子ども達も、皆、多かれ少なかれ、別れを惜しみ、涙ぐんでいます。

節子さんは寛太君に「お母さんによろしくね」と、笑顔です。周りのお別れとはちょっと違うお別れです。

しばらく、お別れをしながら、少しづつ子どもたちがバスに乗り込んでいきます。
最後にあかりちゃんが、今野さんに伴われて乗り込みます。
全員が乗り込んだのを確かめた福田さんは、村の人たちに深々と頭を下げると、「後日また、ご挨拶に伺います。本当にありがとうございました。」と、言うとバスに乗り込みました。
バスのドアがしまり、バスが発車します。
村の人たちは、子供たちの名前をよんで、ちぎれんばかりに手を振ります。子供たちも、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら手を振っていました。

バスの中はそれからしばらく静かでした。
しばらくして、ざわつき始めること、谷口君が、奥山に伝わる昔話の読み聞かせを始めました。
多くの子どもたちは、その話を聞きながら、寝息を立て始めました。

やはり疲れているんだな。福田さんは、子供たちの顔を見回しながら思いました。
そして、スタッフの多くも、眠っているのを見て、よく頑張ってくれたな。と心の中でつぶやきました。


夕方、バスは東京に入りました。
もうすぐ、到着というとき谷口君がマイクを握りました。
「皆起きろ~」
「あ~もう東京だ~」
「もう着くの?」と、子供たちが口々に話始めます。涙はすっかり乾いています。そして、うちに帰る期待で、今までとはまた違う生き生きとした表情になっています。
やはりうちに帰るというのは子供にとって大切なことなのだな。
福田さんは改めて家庭に変えることの大切さを感じました。しかし、その中で一人だけ、あまり晴れやかな顔をしていない子がいました。三枝君です。
福田さんは見逃していませんでした。

谷口君が、「いいかい、バスを降りたら、お父さんお母さんのところに帰りたいだろうけど、荷物を持って、一度、みんなで並んで、お父さんお母さんにみんなで挨拶してから、解散になります。いいですね」
「は~い」
もう子供たちは谷口君を信用しきっているな。と、福田さんも彼の力を信じていました。

解散場所の公園に子供たちを集めると、家族の人たちが、周りを取り囲みます。
福田さんは子供たちに、4日間のことをちゃんとお父さんお母さんにお話しするようにということ、そして、覚えたこと、食事の支度や片付けも続けることなどを話しました。そしてご家族の方にも、あまり矢継ぎ早に、色々聞かずに、子供たちが話すのを待って、よく聞いてあげてほしいことをお願いしました。
そして4日間のことを書いたメモを用意してあるのでリーダーから受け取ってほしいことも付け加えました。

そしてみんなで、『ただいま~』という挨拶とともに、福田さんは解散を宣言しました。
しかし意外な光景が広がりました。
子ども達はお母さんや音尾さんのところへかけていくと思いきや、リーダーの周りに集まって、別れを惜しんでします。
今野さんなどは、ボロボロ涙を流して子供たちを抱きしめています。
あかりちゃんも、今野さん氏しがみついて、ワンワンと泣いています。
お母さんたちは、ちょっと戸惑い気味です。
中にはその光景を見て、もらい泣きをしているお母さんもいました。
それでもリーダーたちは、少しづつ、それぞれの親御さんに、一言二言話をしながらメモを渡していきました。
福田さんは、三枝君のお迎えのおばあちゃんのところに歩み寄りました。
そして、三枝君から少し離れたところに誘い、キャンプ中の出来事と、省三さんの気持ちなどをかいつまんでお話しました。
そして、遠慮なく相談してきてほしいということ、そして、省三さんのところに預けるのも一つの方法かもしれないと、福田さんも思っていることを付け加えました。
おばあちゃんは、「そうでしたか。おっしゃる通りです。たかひろ(三枝君)の親は、たかひろをいつもぶつんです。母親もぶたれています。」
「もし何か、相談があるなら、気軽にご連絡ください。」
「ありがとうございます。」とおばあちゃんは深々と頭を下げました。

その後、スタッフたちは、反省会をすることにしました。
福田さんは、近くの貸会議室をとってあったのです。
その会議室に集まった、キャンプのスタッフを前に、開口一番福田さんが話しました。
「君たちのおかげで、このキャンプは大成功と言っていいでしょう。そして、今までと全く違うスタイルのキャンプだったのではないでしょうか?
そして、この反省会も、きっと今までとは全く違ったスタイルと思います。今までのキャンプなどの反省会は、居酒屋などでの打ち上げをイメージしていたかもしれません。心配しないでください。この後打ち上げに行きましょう。その会場も用意してあります。予約の時間は18時です。それまで約1時間半弱、今回のキャンプについての意見交換をしておきたいと思います。」
みんなは顔を見合わせて微笑みました。
やはり飲み会も期待していたようです。
福田さんは続けます。
「この意見交換は、大きく分けて、二つです。
ひとつは、子供たちここのことについて。
ふたつめは運営について、次回開催する時にこうしたらいいという建設的なものをお願いします。

そして、最後に、思いで会の開催の確認をします。

ひとつ目の子どものことですが、私は一回ぽっきりの子どもとの出会いではいけないと考えています。ですから、キャンプでの情報を蓄積していきたいのです。子供の個人カルテのようなものを作りたいと思っています。
皆さんにはご迷惑でしょうが、今後、数日の間に、そのカルテに気が付いたことを書き留めておいてもらえればと思います。
今日は、みんなで共有しておいた方がいいと思うことを話してください。」

平野君をはじめとして、スタッフの面々は、キャンプ中に使っていたノートを取り出しました。
色々な子どもの様子が話されましたが、特に話題になった子はやはり三枝君でした。
平野君、福野君、そして福田さんが、それぞれ、キャンプ中での様子や、知りえた話を共有しました。そして、解散の時のおばあさんの話も福田さんは、みんなに包み隠さづ話しました。
そして、「この話は、相当デリケートな話だと思う。だから、みんなは、決して他言しないでほしい。どこでどう、話がご家族にまで漏れてしまうかわからないから。」
「わかりました。」
皆大きくうなづきました。
その中で、福野君が、
「もしおばあさんから相談があったらどうなさいますか?」
「うん。何ができるかわからないが、誠心誠意相談に乗って、彼を助けてあげられるよう考えたいと思う。」
「そこまでする責任があるんでしょうか? 僕たちに。それに、僕たちにそのノウハウはないと思うのですが。」
「確かに、今回のキャンプだけを考えればそれは、必要以上の介入に思えるかもしれない。でも私は、子供の教育機関としてのキャンプを作り上げたいのです。教育といっても、学校教育じゃない、地域社会の教育だよ。地域で子供の成長を、ちゃんと見守っていってあげる。そこに専門的知識とか、視覚とかは関係ないんじゃないかな? この子を何とかしてあげたいという思いが大切だと思うんだ。」
「でも、彼の生活している地域と、私たちの生活している地域は、みんなバラバラですよね。」
「そう、今はね。しかし私は、奥山村を故郷とするあそこの地域で子供たちのことを考える教育を考えたいんだ。三枝君は今住んでいつ地域の子ではなくて…極端に言うと、奥山村から今住んでいるところに移っていった子として、奥山村の皆で心配してあげられないかなと思っているんだ。省三さんも節子さんも、みんなと同じように三枝君のことを心配してくれていた…どうかな?」
谷口君が
「すごい発想ですね。子供のふるさとづくりで、そこまでしようなんて…おい、福野、そうだろう?」
「確かに、そんなこと、考えもしなかった。まいったな~」

「時間もあるし、この話はこれぐらいにしようか。次は次回に向けての提案とか改善点を聞かせてくれないか?」
「次回というのは来年ですか?」と、今野さんがききます。
「いい質問ですね どうしましょう?」
「えっ…」
と、今野さんは絶句し、一同が爆笑です。
平野君が、「次回いつするかとか、考えていないのですか?」と笑いながら聞きます。
「ああ、初めは、来年の夏にと思っていたんだが、ちょっと欲が出てね、もう少しはやめて、何かできないかなと今思っているんだよ。どうかな?」
「まあ、とりあえずは、来年の夏同じようなキャンプをするとしての改善点を話しておきましょうか」と平野君がまとめてくれた。
「そうしよう。どうかな」
伊藤さんが、「写真の撮り方が難しかったです。何かテーマというか、目的がないと、なにをどう、どのくらいとっていいのか、すごい迷いながら映していました。」
「テーマというと?」と福田さんがきき返します。
「たとええば…思い出会で、子供たちの楽しそうな様子を張り出して、写真を買ってもらうとか。そのために撮るというのも一つのテーマですよね。ほかには、ひたすら子供の笑顔をとるとか。スタッフと子供のやり取りの様子をとるのもいいかなと思ったり。」
「なるほど~。研究の余地ありだね。でも次回は、とりあえず、記録スタッフは二人にしよう。一人は思いで会での販売写真を撮る。これは親御さんの欲求を満足させるためにも必要だろう。ちょっとした稼ぎになるかもしれないしね。もう一人は、キャンプのテーマにそった写真を撮るというのでどうだろうか?」
平野君が、「わかりました、次回は記録写真のスタッフは二人にしましょう。」
「よし、ほかには?」
思い切って民泊をしてもいいのではという意見も出ましたが、これは福田さんが、もう少し様子を見ようということになりました。
それは、お土産事件があったからです。あんなふうにお願いした以上のことをしてしまう状況があると、結果、ご接待の競争になりかねない。だから、少しこのような受け入れになれて、興奮状態の鎮静化を図ってから、民泊をしたいという話でした。
皆大いに納得です。
そこではお土産事件の話もひとしきり盛り上がりました。
その中でも、あかりちゃんのリックサックの半分はトウモロコシだったこと、そして、あかりちゃんはすっかりトウモロコシを作りにまた行くと意気込んでいたことなどで、大いに盛り上がりました。

「ほかにはどうだろう」
川遊びでの安全確保の問題や、最後に村長さんに挨拶をしなかったことなどが話題に出ました。
福田さんは、「村長さんへのあいさつはすっかり忘れっていたなあ。失敗だ。ご挨拶に行ったときにお詫びしないといけないな。」
平野君も大きくうなずきます。
「まずは明日にでも電話お入れておこう。」

「最後は、思いで会のことですが…」と福田さんが話を始めました。
「3か月後の日曜日、場所はこの会議室を予定しています。」
「なるほど、どうも広い部屋での反省会だなと思ったら、会場の下見も兼ねていたんですね。」
「そういうこと、ここでいいよね。」
「はい」
みんながうなづきます。
進め方は、谷口君考えてくれるかな。
「はい」
掲示とか会場設営、受け付けは平野君、それに写真のことがあるから伊藤さんも協力してもらっていいかな?
ふたりは、ハイとうなづきます。

そのための打ち合わせは必要に応じて皆に連絡すが、基本は、今の3人は私と月一度打合せする。
皆は直前に一度打合せするということでいいだろうか。
今野さんが、
「思い出会は子供たちと、親を分ける時間は考えていないのですか?」
「そうだね、今のところは考えていないが」
「先ほどの、三枝君のことなど考えると、個別に相談したいと思う親御さんもいるのではないでしょうか。そんなときのために、終了後、個別に相談に乗ることもできます見たいな風にして、その間は子供を別室で預かるなんて言うこともあってもいいかもしれないのではないでしょうか。」
「そうだね、個別も、あるかもしれないし、親御さんから感想を聞くこともいいかもしれないから、子供と親が別の時間も考えよう。谷口君いいかな?」
「はい、わかりました。」
平野君がすぐに、「事務室に行ってその日。他の部屋が空いているか聞いてきます。」と言って立ち上がりました。
ほどなくして、
「空いていました。仮予約してきちゃいました。」
「結構」と福田さんは満足げです。
では、反省会はここまでにしましょう。と終了し、福田さんが、
「皆さん本当にお疲れさまでした、では、打ち上げに行くとしようか。」
「は~い!」とみんな、一気に立ち上がりました。

近くの居酒屋に繰り出した面々は、ビールやジュールで、カンパ~イと、声を合わせました。そこから後は、もう、福田さんはもみくちゃといってもいいかもしれません。
次回はいつするの。
またスタッフをしたい。と、福田さんに皆詰め寄ってきます。
大いに盛り上がった、打ち上げでした。

はじめに

その昔…20年近く前になると思います。日本型環境教育の提案という本が発刊されました。 その巻末だったと思いますが、「奥深村自然学校物語・序章」というショートストーリーが乗っていました。 私はこのお話の続きが書きたいと思いました。 当時、この本に大きくかかわっていらした...